アルバム・オブ・ザ・イヤー 2020

晦日です。 今年もアルバム・オブ・ザ・イヤーを発表します。

今回もいつも通り、今年聴いて印象に残った音楽を紹介します。 今年発表かどうかや今年初めて聴いたかどうか、アルバムかどうかなどは問いません。

この記事を書くにあたってまず去年のものをコピーしてきたのですが、去年は12月30日になって書き始めたらしいです。 なにも学習していないので今年もほぼ12月30日(12月29日の23時)に書き始める羽目になりました。 しかも今年は書き始めた時点でアルバム・オブ・ザ・イヤーを何にしようか全くあたりがついていません。 無事大晦日の0時に公開できるのでしょうか。

まず今年1年を振り返ります。

今年は上半期に毎週週報とかいうのを書いていました。 定期的なアウトプット?の場を設けることによって自分がもっと生産的に生きるのではないか、あとどんな音楽を聴いていたかメモしておくことによって年末この記事を書くのが楽になるのではないかと思ってやっていましたが、Twitter との差分がほぼないのでは?と思ったのと闇に飲まれて書くことがなくなったのとで辞めました。 上半期のこととか結構忘れているので、上半期分だけでも残っているだけでこの記事を書く助けにはなったなと感じます。

音楽に関係する今年の大きな変化として、今年はスピーカーを買いました(Pioneer RM-05)。 DAC も買いました(SMSL M500)。 解像度番長みたいなチョイスになっています。 去年まではちゃんと聴きたいときはヘッドホン派でしたが、脳内定位にならずに済むのでスピーカーいいですね。

地味に音楽に関係する変化として、PC にチューナーをくっつけたおかげでテレビをよく見るようになりました。 これまで見ていなかったいろいろな音楽番組とかも見るようになったおかげで邦楽の最新メジャーシーンにも多少詳しくなった気がします(?)。 このシングル曲いいなという発見もそれなりにあったんですが、アルバムで聴くとあまりハマらずなかなか音源を買ったりというところまでは行きつきませんでした。 テレビに時間を割いた分音楽をちゃんと聴く時間が減ったのではないかとも思いますが、テレビを見るときは脳の余力がもうない時で音楽を聴くのは脳にまだ余力がある時な気もするので、意外と食い合ってないかもしれません。

そもそも音楽をちゃんと聴く時間が減ったのではないかの前にまず自分はほぼ音楽をちゃんと聴いていなくて、大体何かをしながらです。 自分はサブスクじゃなくて音源買ってるからセーフ(何が?)みたいに思ってましたが結局ちゃんと味わってないんだったらどうしようもないですね。

あと今年はコロナ禍でした。 毎年たぶん月1以上のペースではライブに足を運んでいたと思うのですが、今年はたぶん Obituary(1月)・NUMBER GIRL(2月)・CHON(2月)・NUMBER GIRL(2月)の4本だけです。 2月の NUMBER GIRL 1回目の頃にはまだ新型コロナが中国から来てるらしいくらいの状況だったなあとか、2月末の Revocation 来日は行きたかったけど大事をとって見送ったなあとか、いろいろと思い出されます。 チケットを買っていたものでいうと FoalsThe Chemical Brothers の公演がなくなりましたし、楽しみにしていたものでいうとフジロックや去年アルバム・オブ・ザ・イヤーに選んだ Blood Incantation の来日もなくなってしまいました。 もうライブや人の集まる場所に行くことのない生活にも慣れてしまい、状況が良くなって久しぶりのライブに行ったとして、以前のようにすし詰めになったりもみくちゃになったりということに耐えられるのか心配になります。

(ここで記事を書く)

去年までのように Youtube を埋め込みまくると重そうだったので、代わりに Spotify のプレイリストを作りました。 めちゃくちゃなプレイリストなので聴きにくいと思います。

記事を書く前は今年書くことないんじゃないかと思っていましたが、振り返ると結構ありました。 こうやって今年もいい音楽を聴いたなと思いながら年越しを迎えられるのはありがたいですね。

アルバム・オブ・ザ・イヤー

Jeff Parker - Suite for Max Brown (2020)

  • 地域: ロサンゼルス
  • ジャンル: 現代ジャズ

ジャズ + ヒップホップではあるんですが曲によってその配合比率が違うというか色が違っており、通しで聴いたときに流れが良く楽しいです。 部分部分を切り取ると現代的で複雑なんですが、母に捧げるアルバムということもあってか根底には優しさや懐かしさが流れています。

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ノミネート

Antoine Berjeaut, Makaya McCraven - Moving Cities (2019)

  • 地域: フランス・アメリ
  • ジャンル: 現代ジャズ

ジャズとエレクトロニカをベースとした現代ジャズですが、人力ドラムンベースかというような激しい部分もあったりとアツいです。 ライブ盤らしいですよ。

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ASIAN KUNG-FU GENERATION - ファンクラブ (2006)

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中学生の頃聴いていた時には意識もしてなかったですが改めて聴いてみると拍子変化があったり構成やドラムが面白かったりして、その頃から今まで変わらない自分の好みみたいなのはあるんだなと思わされる一枚でした。

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CHON - CHON (2019)

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  • 地域: カリフォルニア
  • ジャンル: マスロック

前作があまりハマらなかったんですが、今作は Javier Reyes が Co-Producer に入っているらしく Djent っぽさやダークな雰囲気もあって良いです。

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Contrarian - Only Time Will Tell (2020)

Youtube で動画を見て知り気に入って Bandcamp で探してみて、「あ、ロゴとジャケこういう感じなんだ~」となりました。 曲より先にジャケットを見てたらスルーしてたかもしれないです。

Wikipedia

They are known as one of the front runners at introducing an authentic yet modern approach to the progressive style of the 1990s progressive death metal bands such as Atheist, Death, and Cynic.

とあって、確かに90年代フロリダプログレデスのぐちゃぐちゃした感じをモダンにちょっときれいに進めていくとこんな感じの音楽とロゴとジャケになるのかなという気もしてきました。

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Creepy Nuts - かつて天才だった俺たちへ (2020)

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  • 地域: 日本
  • ジャンル: ヒップホップ

ラジオは一昨年から聴いていましたが曲をちゃんと(?)聴くようになったのは今年からだと思います。

このミニアルバムが良かったから入れているというよりも武道館公演の配信が良かったから入れています。 セトリや歌詞が人生という感じで良かったです。 頭のセルフボースティングパートや終盤の内省パートが特に良かったですね。

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Cynic - Traced in Air (2008)

たった1年の間に2人の Sean がいなくなってしまいました。

Focus ばかり聴きがちだったんですがこのアルバムも改めて聴くと緊張感がすごいなあと。 張り詰めた空気を保ったまま緩急が繰り広げられていきます。

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Death - Human (1991)

今年一番聴いたのはたぶんこれです。 Sean Reinert のドラムワークが光る一枚。

あと Vacant Planets のギターソロがめちゃくちゃいいです。

Flattening of Emotion と Vacant Planets の頭のギターを練習したりもしましたがちょっとサボったらすぐに原曲のスピードでは弾けなくなりました。

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Defiled - Infinite Regress (2020)

このアルバムに限らず仕事中によく流していました。 捻くれたリフとこまめなブラストビートのストップ&ゴーが生産性を向上させます。

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Four Tet - Sixteen Oceans (2020)

前半はビートがはっきりとしてダンサブルであるのに対し後半は環境音の多用などアンビエントな感じになっています。 ノリノリで聴いていたはずがいつの間にか瞑想的な空間に吸い込まれ、サウナ水風呂外気浴よろしくスッと心が落ち着くような感覚を味わえます(?)

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Hazzerd - Delirium (2020)

刻みありクサメロありのすぐ元気になれるアルバムです。 ライブで観たら楽しそう。

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Macaroom - Swimming Classroom (2018)

  • 地域: 日本
  • ジャンル: エレクトロポップ

現代音楽の影響があるようです。 気持ちよく聴けるけど複雑で印象的なトラックの上に気持ちいいボーカルが乗っています。

ウィスパーボイスや歌詞のナンセンス感はちょっとやくしまるえつこっぽいと思いきや、ちゃんと聴いてみると結構不穏な歌詞だったりして魅力的です。

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Mammal Hands - Captured Spirits (2020)

  • 地域: イギリス
  • ジャンル: 現代ジャズ

いつもの Mammal Hands といえばいつものかもしれないですが、2曲目の疾走感のせいか、全体的に落ち着きというよりは明るめで元気な印象を受けました。

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NUMBER GIRL - SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT (1999)

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今年は高松と名古屋、2回見ました。あと3月の配信も見ました。 高松は距離の近さが、名古屋はパフォーマンスが良かったですね。 MUSIC UNITES AGAINST COVID-19 に名古屋公演の空気が収録されていたのもうれしかったです。

今回のセトリでかなり印象に残ったのがタッチと転校生だったのでその2曲が収録されているこのアルバムを入れておきます。

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Obituary - Cause of Death(1990)

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来日前にめちゃくちゃ聴いていたからか Spotify の今年一番聴いた音楽は Obituary になってました。 緩急の激しさとぐちゃぐちゃ度合いが良いですね。

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Respire - Black Line (2020)

久しぶりに発売日を楽しみにした作品でした。 先行公開されてた3曲が良かったんですよね。

本人たちは "orchestral post-everything collective" と名乗っており、その名の通りバイオリンやトランペットなども使用されているのが特徴です。 これが激情によく合うんですよね。

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Tigran Hamasyan - The Call Within (2020)

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音楽性としては2015年の Mockroot の延長線上にありつつも変拍子感が強くなっている気がします(たぶんコンセプトは違う)。

その変拍子感 Djent 感変態感を除けば、実は編成的にも雰囲気的にも 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト に近いのではという気がしてきました。

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!T.O.O.H.!- Order and Punishment (2005)

買ったのは今年ですがだいぶ前から知っていて、たぶん Twitter を掘ったりすると4年前くらいに人に薦めている痕跡があるようです。

奇妙なボーカルとそれに負けないプログレッシブでブルータルな曲とでもうめちゃくちゃなんですが、全体としてはすっきりとまとまっており良いです。

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Wishfield - Wishfield (2019)

フレットレスギターとフレットレスベース、そしてボーカルの腑抜けた感じが特徴的で良いです。

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明日の叙景 - すべてか弱い願い (2020)

1曲目のイントロでニヤッとしてしまいました。 なんか音がもこもこしてたりとどこか暖かさを感じさせる部分がありエモいです。

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中村佳穂 - AINOU (2018)

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  • 地域: 日本
  • ジャンル: ポップス

サウンドファイターズに出たときにアイアム主人公が流れてあれこれ聞いたことあるぞみたいな感じでアルバムにたどり着きました。 Apple の CM にも使われてたらしいですね。

要素として R&Bエレクトロニカ・ジャズなどなど様々なジャンルの影響がありつつも、アバンギャルドになりすぎずポップなラインに収まっていて良いです。 ライブがすごいらしいですがライブ映像とかなんかあえて見ないようにしてます(?)

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羊文学 - ざわめき (2020)

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もともとスリーピースなのに加えてこの EP は特にアンサンブルがシンプルな曲でまとめられている気がします。 ギターサウンドと歌声がスッと入ってきます。

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凛として時雨 - #4 -Retornado- (2020)

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  • 地域: 日本
  • ジャンル: ポストハードコア

今年は #4 15周年ということでこのリマスター盤が発売されたり配信ライブがあったりしました。 初期の曲はギラギラに尖っていていいですね。

リマスターによってシンバルの主張が強くなったりまあちょこちょこ変わっているなあという印象です。 慣れもあると思いますがまあ自分はもともとのバランスの方が好きかも知れません。

配信ライブも見て演奏ももちろんよかったんですが実は一番心を動かされたのは出囃子を聴いた時で、ライブってあったなということであったり開演待ちのあの時間のことだったりを思い出させてくれました。 この出囃子って音源化されているのかなと思ったらなんと……

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