ErgoDash を作った
自作キーボード沼に飛び込んだ。 飛び込んだというのはどういうことかというと、自分にしては珍しく(?)下調べもそんなにせず勢いで買ってきたから。
買って作ってちょっと使うあたりの話をだらだらと書く。
買う
周りにも自作キーボードをやっている人はいるので前々から気になってはいたが、赤軸だの茶軸だのどのキースイッチがいいのか打ち比べてみないとわからないな、と思っていたのと、ずっと日本語配列ユーザーとして生きてきて果たして慣れるんだろうかと思って敬遠していた。
10月の頭頃、たまたま近くへ行ったこともあって、そうだキースイッチの押し比べをしてみようと遊舎工房に行ってみた。 マツコの知らない世界で自作キーボードが紹介された影響もあったのだろうか、入店待機列に5~6人ほど並んでいたのには驚いた。
— dmingn (@dmingn) October 3, 2020
色々なキーボードやキースイッチを触っているうちに、これ何でもいいから1回作って使ってみないとどういうのがいいのかわからないよな、という気持ちになり、とりあえず何か一式を買い揃えて帰ることを決意した。 こんなものはどうせ慣れである。
キット
まあどうせならやっぱり分割に挑戦してみたいし、肩も開きたかったので一体型はとりあえず選択肢から消えた。 分割型にも、一体型をそのまま分割したようなものと親指キーが特徴的なエルゴ系のものがあるが、中途半端にほぼ US 配列そのままのものを作るよりも一気にエルゴ系にして記号の位置をぐちゃぐちゃにした方が慣れやすいのではないかと思い、エルゴ系の分割にした。 エルゴ系の分割にもまたいろいろあるが、大は小を兼ねる(キーマップをいじれば小は大でエミュレートできる)だろうということで、キットは Ergo Dash(親指あり)にした。後から知ったが遊舎工房の自作キーボード入門セットも ErgoDash だったので、だいぶスタンダードな選択だったっぽい。
キースイッチ
キースイッチは延々と打ち比べた結果静音タクタイルの Zilent 62g がいいのではないかと思ったが、スイッチテスターで人差し指とか中指で打ってるから気持ちいいだけであって実際に使ってみたらちょっと重すぎて疲れたりするのではないかと思い、より軽めのタクタイルで気に入った Hako Violet にした。これもあとから知ったのだが、どちらも結構人気のキースイッチだったっぽい。
キーキャップ
キーキャップはなんか ErgoDash の商品ページの2枚目に写ってる緑とオレンジとグレーが入ってるやつ(MDA Big Bang)がいいな~と思って適当にそれっぽい色のやつ(DSA 50% Dye-Sub keycaps)を買った。
作る
遊舎工房でキットなどを買ったあと、1週間寝かせてその間にいろいろ調べた(ここで自分が買ってきたキーキャップは思っていたのとは違っていたこと、思っていたものは在庫がないことなどを知る)。
LED とか使わないだろ、ゲーミング(笑)と思っていたがとりあえずつけることにした。 LED などは別売りなので、秋月に行って部品を揃えて、土日をかけて作った。 (秋月も新型コロナ対策が徹底されており、検温をしている間に傘を傘袋に入れる係りの店員さんがいるなどして驚いた)
長い戦いだった pic.twitter.com/GiQUK1UuOe
— dmingn (@dmingn) October 11, 2020
以下作って思ったこと。
Underglow LED
Underglow LED の WS2812B は熱に弱いと言われており、他のビルドログなどを見ていると温調はんだごてを使っている人が結構いたが、もともと持っていた普通のはんだごてでやっても割と何とかなった。 WS2812B を1つ壊したが、なんかもっと壊れるんじゃないかとビビっていたので拍子抜けした(温調を使える人は温調を使いましょう)。 たぶん同じ WS2812B の4本の脚を連続してはんだ付けしたりせずに、異なる WS2812B の脚を1本ずつつけていって冷める時間を作るのが大事な気がする。 壊れた WS2812B を外すのははんだ吸い取り機があってもはんだ吸い取り線があっても難しく、二刀流ではさむのが一番楽じゃないかと思う。
これは熱で壊れたっぽかったのではんだごて二刀流で外した WS2812B pic.twitter.com/hs4rJ5aAeQ
— dmingn (@dmingn) October 11, 2020
抵抗やダイオードを実装する面
「将来 Pro Micro を BLE Micro Pro (BMP) に交換したくなったときに基板裏面に抵抗やダイオードを実装していると BMP 用の電池基板と干渉する可能性がある」という記事を読んで、抵抗やダイオードを基本的に表面に実装してみた。 ビルドガイドにも抵抗やダイオードは表裏どちらにつけても構わないと書かれている。 実装前に抵抗やダイオードがキースイッチやアクリル板と干渉しないことは確認したが、盲点として 2U のキーキャップ用のスタビライザーの棒と干渉した(そこだけ裏面に実装し直した)。 あと、Rev 1.2 基板だからかそもそも抵抗やダイオードを裏面に実装しても電池基板とは干渉しなさそうな気がした(要確認)。
アクリル板の保護シート
アクリル板の保護シートを剥がすのはどこかで読んだぬるま湯につける方法が楽だった。 のりが溶けるようで、勝手に剥がれていく。
ソケット化
キースイッチのソケット化はなんか最初はいいかなと思ったのでやらなかった。 ErgoDash にはキーレイアウトを変更できるところもあるし、スタビライザーに lube しなかったことを今猛烈に後悔しているのでやっておいた方が良かったかもしれない。
やらなくて良いかなと思った理由には、Backlight LED を付けたらキースイッチだけソケット化したところでスイッチ外せなくね?と思っていたからというのもあるのだけど、Backlight LED もソケット化するという手があるらしい。なるほど。 気が付いたら一か月後くらいには半田シュッ太郎を握りしめているかもしれない。
モゲマイクロ対策
モゲマイクロ対策もマグネット式の USB ケーブルを使うくらいで、あとは特にやらなかった。これって本当にもげるんですか?
使う
とりあえず作ったあとは、ひたすらキーキャップを物色したりキーマップをいじったりしていた。
キーキャップ
キーキャップについてはちゃんと考えずになんか50%用のキーキャップに適当に無刻印のを足して買ってしまったため、記号用のキーキャップが足りていなかった。 最終的には別レイヤーに押し込んで位置を覚えることになるんだからどうにかなるやろと思っていたが、表面に記号が書かれていないのはまだちょっときつい。 そう思ってキーキャップを物色していたが、こういうエルゴ用にぴったり使える 1U メインのキーキャップセットはあまりないことや、かっこいいキーキャップは大体 Group Buy なのでもう手に入らないことなどを知る。
キーキャップ物色してるといいキーキャップは売り切れたキーキャップだけだみたいな気持ちになってくる
— dmingn (@dmingn) October 14, 2020
そうしたらちょうど開催された遊舎工房オンラインマーケットに MDA ORTHO VoID のノベルティキーなし版が出品されたので、ErgoDash は使わずに使い慣れたキーボードで急いで住所を入力して争奪戦を制した(本当はノベルティキーあり版が欲しかったがこれは住所入力中に売り切れた)。タイミングよく手に入れることができて良かった。
キーマップ
キーマップは github においているがまだ確定していない。ここにもまた沼があることを知った。
とりあえずキー数の多いキットを選んだが、レイヤーがあることも考えると結構キーが余るなあという印象。 そしてレイヤーを全然駆使できていない。キー数の少ない他のキーボードのデフォルトキーマップとかを参考にしてみようかなとか思ったりしている。
自分は絶対に 変換/無変換 または かな/英数 で IME を On/Off したい人間なので、OS には日本語配列のキーボードとして認識させなければいけない(たぶん)。
そうするとキーキャップの印字(US)と実際に入力される文字がずれるのでどうにかならないかと思っていたら、process_record_user
内で日本語配列から US 配列に変換するためのコードが公開されていたので使わせていただいた。
あとは QMK のドキュメントを読んでいたら Underglow の RGB LED を layer indicator に使えたりすると書いてあったのでやってみたりしている。 ゲーミング(笑)とかいいつつ LED を実装しておいてよかった。
使用感
打鍵感が気持ちいい 😊 のでケーブルを抜いてただただカチャカチャしたりしている。ただもうちょっとばねが重くても良かった気もする。
キーボードが分割されることについては意外と苦労しなかったが、唯一 B についてはもともと右手で打ったり左手で打ったりしていたようで、かなり間違える。 分割がどうこうというよりも、Row-Staggered から Column-Staggered になってキーの位置が微妙に思ったところにない方が影響がデカい。 ブログを書くのには使ってもコーディングにはまだ使っていないので、記号の位置ではまだあまり困っていない(打つ機会がまだないだけ)。
親指の一番内側のキーには指が届かない。 指が届かないことを見越して 2U にしたがそれでも届かない。親指なし版の存在に納得がいく。 あと、2U 用のスタビライザーは絶対に lube した方がいい。 遠くてかつ打鍵感が悪くさらにそこに置きたいキーもあまりなかったので、一応左右ともに space を割り当てているが結果として使わないキーになっている。
一番奥の数字キーの行も自然には指が届かない。ErgoDash mini の存在に納得がいく。 この辺はレイヤーを駆使できるようになれば問題ない話だし、パームレストの導入やキーボードの角度の調整でどうにかなりそうな気もしている。
おわりに
自作キーボード沼に飛び込んでみた。 とりあえず飛び込んでみたが、思ったよりも気持ちよく使えており満足している。
ROI どうなんだみたいな話はあるが、肩が開くかとかタイピング速度とかよりも、はんだ付けや自作の楽しさを思い出させてくれたことがデカいと思っている。
自作キーボードの後は自作ケーブルや自作パームレストかなと思っていたが、どういうわけかこの記事を書いている時点ですでに2台目が出来上がっている。 沼だ。
この記事は ErgoDash で書きました。